vie riche

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TOKYO/OL/minimalism///

松坂屋の紙袋とお母さん

入社して1ヶ月半、配属も決まり少し落ち着きました。

希望部門を考えながらふと、私がそもそもなぜ東京で働こうと思ったのかを振り返っていました。

それは母の存在が大きいです。

 

母は大学を卒業してすぐ、地元の銀行に勤め始めました。

しかし当時は大卒の女性は敬遠された上、母は高卒の同期とうまく馴染めず悩んでいました。

ある日そのことをゼミの先生に相談したら、東京・銀座の法律事務所の事務の仕事を勧めて頂いたそうです。

 

初めての東京で、母は毎日を目まぐるしく過ごしていました。

ランチでわざわざ築地の方まで行きお寿司を食べたこと。

アフターシックスに小さなお店を練り歩きウィンドウショッピングをしたこと。

飲み会の2軒目で上司に知る人ぞ知るおでん屋さんに連れて行ってもらったこと。

合コンの前に松坂屋で慌ててハイヒールを買ったこと。

 

母はよく、人生で1番楽しかったのは銀座で勤めていた頃だと言っています。

楽しそうに話をする母を見て、私も知らず知らずのうちに東京で働くことに憧れました。

 

そんな私。

ランチは節約を兼ねて、作り置きしたおかずでお弁当。

退勤時には百貨店は軒並み閉まっていて、動画の続きを見ることを楽しみに帰宅。

飲み会の2軒目は3000円で飲み放題の居酒屋。

母とは全く違う生活を送っています。

 

しかしたくさんの情報と優秀な人々が集中し、日本の最先端を行く東京という場所で働けることのありがたみを、この1ヶ月半ひしひしと感じてきました。

 

GWに帰った際、たまたま持っていた紙袋を見て母が言いました。

「あら、銀座に寄ったの?」

私が持っていた紙袋は、松坂屋のもの。母の日の靴のプレゼントでした。

 

しかし松坂屋の銀座店は閉店し、今はGINZA SIXになっています。

私が母の日のプレゼントを購入したのは松坂屋の上野店でした。

 

母もGINZA SIXの存在は知っていますが、きっと心の中の銀座六丁目のあの交差点にはいつまでも松坂屋があり、日々を楽しんだ思い出があるのだと思います。

 

私の心の中には、どんな風景が宿るのだろう。

今からとても楽しみです。

 

今週のお題「おかあさん」